2006年に制度化された在宅就業障害者支援制度をはじめ、国は障害者の在宅就業を支援してきました。そして世界中を席巻したコロナパンデミックをきっかけに、日本でもリモート勤務が浸透したのは記憶に新しいでしょう。こうした企業や労働者の働き方への意識の変化もあって、障害者の在宅勤務の求人数も増加傾向にあるといわれています。デジりすさんと見ていきましょう。
参考:厚生労働省「在宅就業障害者支援ノウハウブック」
参照:厚生労働科学結果データベース「令和3年度厚生労働省科学研究費補助金(障害者政策総合研究事業)(総括)研究報告書 」

デジりすさんってだあれ?
デジりすさんとはデジキャリIT就労移行支援事業所のキャラクターであり、Instagramでは様々な知識を教えているよ!
障害者雇用における在宅ワーク
在宅ワークを指して「テレワーク」や「リモートワーク」といった言葉をよく聞くのではないでしょうか。
狭義ではニュアンスの異なる二つの言葉ですが、一般的には同じ意味と考えて問題ありません。
「テレワーク」や「リモートワーク」とはパソコンなどを使用して、主に自宅などオフィスから離れた場所で仕事をすることを指します。
そしてこの自由度の高い働き方は、活用次第では障害者と企業の両方に大きなメリットをもたらしてくれるのです。
在宅でも障害者雇用される?在宅勤務者とは?
もちろん要件を満たせば、在宅ワークで障害者雇用されることが可能です。
障害者雇用率の算定対象となるには、雇用保険の被保険者である在宅勤務者のうち、常用雇用労働者に該当する必要があります。
では国が位置づける在宅勤務者とはどのような労働者なのでしょうか。
雇用保険でいう在宅勤務とは「労働日の全部又はその大部分について事業所への出勤を免除され、かつ自己の住所又は居所において勤務すること」を指します。
また障害者雇用率制度で定められる在宅勤務者とは「事業所における通常の勤務日数が一週間当たり一日未満であり、かつ一週間当たりの事業所への出勤回数が二回未満」などの要件を満たす方のことです。
ただし通勤が著しく困難な身体障害者は、事業所への出勤回数が一回未満とされています。
【出勤回数1回未満の方】
・1級又は2級の視覚障害者
・1級又は2級の上肢障害者
・1級から3級までの下肢障害者
・1級から3級までの体幹障害者
・1級又は2級の乳幼児期以前の非進行性の脳病変による上肢機能障害者
・1級から3級までの乳幼児期以前の非進行性の脳病変による移動機能障害者
・1級から3級までの内部障害者
在宅勤務の常用雇用労働者とは?
在宅勤務者が障害者雇用率(法定雇用率)の算定対象となるには、事業所に勤務している常用雇用労働者と同じ要件を満たしている必要があります。
在宅で労働している方が常用雇用労働者であるか否かは、下記の雇用保険業務取扱要領に記載されている要件を基に総合的に判断されます。
1.指揮監督系統が明確であること(在宅勤務者の所属事業所及び管理監督者が指定されていること)
2.拘束時間等が明確であること(所定労働日及び休日、始業及び終業時間等が就業規則等に明示してあること)
3.始業、終業時刻等の勤務実績を事業主が明確に把握していること
4.報酬が勤務した期間又は時間を基に算定されていること(月給・日給・時給等)
5.請負・委任的なものでないこと
参考:厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」
参考:独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構「在宅勤務障害者雇用管理マニュアル」
障害者が在宅ワークで勤務するメリット・デメリット
在宅ワークで働くことで、障害者と企業が得られるメリットは大きなものです。
とはいえデメリットと感じられる面もあり、ここでは双方のデメリットへの対策方法についてもお伝えします。
障害者のメリット
障害者が在宅で働くメリットには大きく「通勤が不要」「慣れた環境で働ける」の2つがあります。
障害を持つ方が通勤時に感じるストレスは小さいものではありません。
たとえばバリアフリーでないエリアを、身体に障害のある方が毎日通勤するのは非常に困難です。
また発達障害の方の中には、満員電車に乗ることに強い不安を感じる人もいます。
在宅で働くということは、こういったストレスから解放された働き方ができるということなのです。
障害者はその障害の特性上、バリアフリー化の進んでいないオフィスで働くことに強いストレスを感じることもあるでしょう。
小さな段差であっても、車椅子の方には大きな事故の原因になりかねません。
自宅は障害者が自分の障害特性に合わせてカスタマイズした、ストレスなく過ごせる業務に最適な空間でもあるのです。
安心できる環境で働くことで、より安定的に業務を行えるメリットは非常に大きいといえます。
企業のメリット
もちろん在宅ワークは雇入れる企業側にもメリットがあります。
もし企業が障害者雇用を推進したいと考えているなら、障害者の在宅勤務雇用は大きなメリットがあるのです。
障害者を在宅勤務で雇用するメリットには「バリアフリー化の設備費や施設費が必要ない」「全国から優秀な人材を集められる」「安定した業務が期待できる」といったことが挙げられます。
もし会社をバリアフリー化しようとすれば、トイレを車椅子対応に改装したりスロープを設置したりと、相応の費用が必要になります。
その点在宅ワークであれば、そういったバリアフリー化の費用は必要なく、必要な費用は貸与するパソコンや業務に必要なWebツールの利用料、備品代などで済むでしょう。
また障害者雇用に限りませんが、在宅勤務であることで居住地に関係なく全国から優秀な人材を募集できます。
なによりも自宅というストレスのかかりにくい環境で業務を行うことで、障害を持つ方も体調管理がしやすくなります。
安定して業務遂行ができることで、一人ひとりの業務の効率も上がる可能性があるのです。
在宅ワークで対策するべきこと
在宅ワークのデメリットに対面でのコミュニケーションが取れないことによって、意思の疎通が上手くいかないことが考えられます。
障害者側としては自宅で働くことで、オンとオフの切り替えが難しいと感じるかもしれません。
企業側も対面でのフォローができない分、より適切で分かりやすい指示や業務の進捗管理、在宅の障害者が報・連・相をしやすい雰囲気作りが大切になってきます。
企業は障害の特性を理解することで円滑なコミュニケーションを心がけ、雇用される障害者も意識的に仕事とプライベートを分ける努力が必要です。
また在宅ワークの仕事の特性上、雇用される障害者の方はパソコンなどのオンラインツールへの慣れが必要不可欠になります。
企業も在宅勤務でのセキュリティ対策と、在宅勤務する労働者への啓蒙活動を継続的に続ける必要があります。

苦手なことがデメリットになっていると少し大変だよね
在宅ワーク可能な仕事
在宅ワークに向いている業務をお伝えします。
多くの場合パソコンを使用した業務が中心になるため、ある程度のパソコンスキルはあった方がいいでしょう。
データ入力などの事務の仕事
在宅ワークで最も想像しやすい業務がデータ入力でしょう。
一口にデータ入力といっても内容は多岐にわたり、アンケート内容の入力や音声データの文字起こし、名刺などの顧客情報の入力、手書きのメモやPDFデータの入力などです。
ワードやエクセル、パワーポイントなど一般的なオフィスソフトを使えるスキルが必要になります。
Webデザイナーやプログラミングなどの専門知識を必要とする仕事
専門知識を必要としますが、Webデザイナーやプログラミングは在宅ワークに向いている仕事です。
デジタル化により企業のビジネスモデルや人々のライフスタイルを変革するDX化の加速もあって、ウェブサイトやアプリケーションの需要が高まっており、こうした専門知識をもつ求人も増加しています。
就労移行支援事業所などの各種障害者支援サービスを利用して、こうした専門知識を取得することで、在宅ワークの幅も広がるでしょう。
Webライティングや編集業務など文章作成スキルを必要とする仕事
前職や趣味の知識を活かしたい方には、Webライティングなどの文章作成業務も向いています。
主にWebサイトに記載される文章を作成しますが、一般的な企業のHPの他に美容やグルメなどネット上には多種多様なWebサイトがあります。
元々自分が持っている知識を活用できるのは、仕事をするうえで大きな利点です。

PC業務がやっぱり多いね
在宅勤務を推進する企業が受けられる制度や助成金
在宅勤務に取り組む企業には様々な制度や助成金が存在します。
これらを活用することが、障害者雇用拡大の手助けになるでしょう。
在宅就業障害者支援制度による特例調整金・報奨金
2006年に導入された「在宅就労障害者支援制度」は、障害者雇用促進法に基づき、障害者の就労機会拡大を目的として制定されました。
本制度では一定の条件を満たした事業主が、在宅就業障害者に当たる障害者に対して仕事を発注する場合に、「特例調整金」または「特例報奨金」が支給されます。
【在宅就業障害者の特例調整金】
・常時雇用労働者が100人を超える事業主
【在宅就業障害者の特例報奨金】
・常時雇用労働者が100人以下の事業主
実際には以下の2つの方法で事業主が住宅就業障害者へ仕事を発注すると、「在宅就業障害者特例調整金」または「特例報奨金」を受給できます。
・企業が在宅障害者に直接仕事を発注する場合
・企業が在宅就業支援団体を介して在宅障害者に仕事を発注する場合
参照:厚生労働省「在宅就業障害者支援ノウハウブック」
参考:独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構「在宅就業を支援する団体・機関」
特定求職者雇用開発助成金
ハローワーク等からの紹介により、障害者や高齢者などの就職困難者を継続して雇入れる(雇用保険の一般被保険者)事業主に助成金が支払われます。
障害の程度や企業規模によっても異なりますが、対象となる期間は1年~3年で支給額は30万円~240万円です。
参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」
障害者作業施設設置等助成金
障害者を常用従業員として新たに雇入れ、または継続して雇用する事業主に支払われる助成金です。
雇用する障害者が就労上の課題を克服して、容易に作業が行えるように配慮された施設、または改修等がなされた設備の設置や整備に対して、費用の一部を助成します。(費用に2/3を乗じた額が支給。※限度額あり)
身体障害者や知的障害者、精神障害者とこれらの障害を抱える在宅障害勤務者が対象となります。
「障害者作業施設設置等助成金」は、「第1種作業施設設置等助成金」と「第2種作業施設設置等助成金」に設置や整備方法によって分類されており、支給対象や助成率、支給限度額が異なります。
参考:厚生労働省「障害者作業施設設置等助成金」
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者作業施設設置等助成金・障害者福祉施設設置等助成金」
障害者介助等助成金
雇用障害者の適切な雇用管理のために、その障害特性や程度に応じた職場介助者の配置などを継続して行う事業主を対象として、費用の一部に助成金が支給されます。
「職場復帰支援助成金」や「手話通訳・要約筆記等担当者の配置助成金」など、「障害者介助等助成金」として20の項目が設けられており、支給対象となる措置や支給額はそれぞれ異なります。
参考:厚生労働省「障害者介助助成金」
参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者介助助成金」
デジりすさんからのアドバイス
「チェックリストを活用しながら考えてみよう
断ることはダメなことじゃないよ」

今回は障害者が在宅で仕事をする意義についてお伝えしました。
官民挙げて進められている障害者の社会進出と、現在の日本社会に浸透しつつある在宅で働くというライフスタイルの変化にともない、これからも障害者が在宅で働く機会は増えていくと考えられます。
自分の障害と向き合い在宅ワークで働き続けることは、自分らしい働き方を実現する方法の一つになっていくのではないでしょうか。
私たちデジキャリIT就労移行支援事業所では、障害等の事情があって就職・再就職に悩んでいる方に対して、相談や就職準備、アドバイスなどのサポートを行なっています。「障害があるから仕事が見つからない…」などのお悩みを抱えている方は、一度相談に来てみてはいかがでしょうか。

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