起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation, OD)は、特に思春期の子どもや若者に多く見られる自律神経の不調によって引き起こされる障害です。突然の立ち上がりや長時間の立位でめまいや立ちくらみを感じ、時には倒れてしまうこともあります。原因や対策を知らずに放置すると、日常生活に支障をきたし、学校生活や仕事に悪影響を及ぼすことも少なくありません。
この記事では、起立性調節障害の原因、症状、そしてその対策について詳しく解説し、子どもから大人まで適切に対応できる方法をご紹介します。
起立性調節障害とは
主な症状
起立性調節障害は、自律神経のバランスが乱れ、体の血液循環や心拍数の調整がうまくいかなくなることで発症します。そのため、以下のような症状が見られます。
・立ち上がる際のめまい、立ちくらみ
座った状態や寝ている状態から急に立ち上がると、血圧が急激に変動し、めまいやふらつきが起こることが多いです。
・朝起きにくい、寝起きが悪い
起立性調節障害を抱える人は、特に朝の血圧調整が難しく、なかなか起き上がれないことが特徴です。特に若者に多く見られる症状で、学校や仕事に遅刻しがちになります。
・疲れやすさ、だるさ
血流が不安定になることで、日中に急な疲労感やだるさを感じることが多く、体力の回復が遅くなる傾向があります。
・食欲不振や胃腸の不調
自律神経が胃腸の働きをコントロールしているため、起立性調節障害があると消化不良や食欲不振が引き起こされることがあります。
起立性調節障害の原因
起立性調節障害の原因は、主に自律神経の乱れにあります。自律神経は、心臓の働きや血圧、消化機能、体温などをコントロールする役割を持ち、交感神経と副交感神経という2つの働きによって調整されています。
・成長期のホルモン変動
特に思春期の子どもたちは、急激な成長やホルモンの変動によって自律神経が乱れやすくなります。成長が活発な時期には、血圧の調整が難しくなり、起立性調節障害を引き起こすことがあります。
・ストレスや生活習慣の乱れ
精神的なストレスや、睡眠不足、運動不足、食生活の乱れなどが原因で自律神経のバランスが崩れ、起立性調節障害を引き起こすことも多いです。特に現代の若者は、スマートフォンやパソコンの使用による夜更かしや不規則な生活リズムが原因となることがあります。
・遺伝的要因
起立性調節障害は、家族内で発症することがあり、遺伝的要因が関与している可能性も考えられています。家族に同じ症状を持つ人がいる場合、注意が必要です。
起立性調節障害の対策
起立性調節障害は、自律神経の働きを改善することで、症状を緩和することが可能です。以下の対策を実践することで、症状の軽減を目指しましょう。
1. 規則正しい生活リズムを作る
自律神経を整えるためには、生活リズムを整えることが最も重要です。
・決まった時間に起床・就寝する
早寝早起きを心がけ、体内時計を整えることで、自律神経のバランスを回復させましょう。特に朝はできるだけ同じ時間に起きるように心がけることが大切です。
・十分な睡眠を取る
自律神経の安定には、質の高い睡眠が不可欠です。寝る前のスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスした環境での睡眠を心がけましょう。
2. 適度な運動を取り入れる
運動は自律神経を刺激し、血液循環を促進します。軽い運動から始め、徐々に体力をつけることがポイントです。
・有酸素運動
ウォーキングやジョギング、サイクリングなどの有酸素運動は、血流を改善し、自律神経のバランスを整えるのに効果的です。
・ストレッチ
朝晩に軽くストレッチを行うことで、血流を促進し、体をリフレッシュさせましょう。特に朝のストレッチは、1日の血圧の安定に効果があります。
3. バランスの取れた食生活
栄養バランスの取れた食事も、体の自律神経を整えるためには欠かせません。
・栄養素を意識する
ビタミンB群やマグネシウム、鉄分など、神経伝達に必要な栄養素を積極的に摂取しましょう。また、朝食を抜かないことも大切です。
・水分補給
血流の改善のためには、適度な水分補給も重要です。特に朝起きた時や、運動後にこまめに水分を摂るよう心がけましょう。
4. ストレスを軽減する方法を見つける
精神的なストレスが原因で自律神経が乱れることがあるため、ストレス管理も重要です。
・リラクゼーション法を取り入れる
ヨガや瞑想、深呼吸などのリラクゼーション法を実践することで、精神的なストレスを軽減し、自律神経を安定させることができます。
・趣味やリラックスタイムを設ける
ストレスを感じた時には、趣味やリラックスできる時間を持つことで心身をリセットしましょう。
5. 起立性調節障害の治療法
起立性調節障害の症状が重い場合、医療機関での治療が必要になることもあります。治療法としては、以下のような方法があります。
・薬物療法
症状が重い場合は、医師の指導のもとで血圧調整薬や自律神経を調整する薬を処方されることがあります。ただし、薬物療法はあくまで一時的な対処であり、生活習慣の改善が長期的な解決策となります。
・認知行動療法
自律神経の乱れには、心理的な要因も大きく関与しているため、認知行動療法によってストレスの感じ方や対処法を学ぶことも効果的です。
まとめ
今回は起立性調節障害についてお伝えしてきました。起立性調節障害は、自律神経のバランスが崩れることによって引き起こされる症状であり、子どもから大人まで広く影響を及ぼします。規則正しい生活、適度な運動、バランスの取れた食生活、ストレス管理が重要な対策となります。また、症状が重い場合には医療機関での治療を受けることも検討すべきです。
早期の対策と生活習慣の見直しによって、起立性調節障害の症状を緩和し、日常生活をより快適に過ごせるようにしましょう。
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