自分の障害特性を理解し、働きやすいように配慮してくれる企業での就労を望む方は多いでしょう。
そのため障害を持つ方の中には障害者雇用を利用して就職先を決める方が数多くいます。
しかし職場の雰囲気や細かな業務内容などは、実際に働いてみないと分かりません。
働きだしてから「思っていた職場環境と違う」などという、採用後のミスマッチを避けるために利用したい制度がトライアル雇用です。
トライアル雇用には様々な種類がありますが、今回は障害者雇用を目指す方のための障害者トライアル雇用について解説していきます。
トライアル雇用とは?
「トライアル雇用」は様々な理由から、就労の経験が少ない方や就労が困難な方を対象とした原則3か月間の試し就労の制度です。
企業側は求職者の適性や能力を見定めることができ、また求職者も職場環境や仕事内容など実際に体験してから期間を定めない雇用へ移行できます。
トライアル雇用には様々な種類がありますが、今回は障害を持つ方が利用できる障害者トライアル雇用について解説していきます。
障害者トライアル雇用のメリット・デメリット
障害者トライアル雇用を利用して就職した方の1年後の職場定着率は、8割以上と非常に高くなっています。
このように障害者と企業の双方にメリットのある障害者トライアル雇用ですが、デメリットも存在します。
メリットとデメリットの両方を吟味して利用を検討しましょう。
参照:厚生労働省HP「トライアル雇用」に応募してみませんか?」 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000497221.pdf
障害者側のメリット・デメリット
【メリット】
職場の雰囲気や具体的な業務内容を確かめられるので「思っていた職場と違う」というミスマッチを避けられるのは大きなメリットでしょう。
実際に働いてみることで、どのような合理的配慮を企業側に求めれば、安定的に働けるのか分かります。
また雇用期間が定まっている障害者トライアル雇用の場合、企業側も採用のハードルが下がるため、求職者のスキルに関わらず採用されやすくなるという傾向もあるのです。
・職場の職場環境や人間関係、実際の業務内容を体験できる
・合理的配慮を伝えやすい
・スキルがなくても応募しやすい
【デメリット】
企業側に採用義務のある試用期間と違い、障害者トライアル雇用はお試しで働く期間が終了しても必ず無期雇用されるわけではありません。
企業側に適性がないと判断された場合は雇用されないのです。
またトライアル雇用中は他の企業に応募ができないため、不採用になればまた一から他の求人を探さなければならないことも大きなデメリットでしょう。
・障害者トライアル雇用の後に必ず採用されるとは限らない
・複数の企業案件に応募できない
企業側のメリット・デメリット
【メリット】
トライアル雇用により採用の「ミスマッチ」を回避できるのは企業にとっても大きなメリットです。
企業側は実際に働いてもらうことで障害者のコミュニケーション能力や、業務内容への適性があるのかを見定められます。
実際にどのような合理的配慮が必要なのか事前に知ることで、障害者の職場定着率を上げることもできます。
またハローワークを経由して求人を募るので広告費用が削減でき、助成金を利用することで雇用コストの抑制が可能です。
・採用後のミスマッチを減らせる
・職場定着率の向上に役立つ
・助成金を使い、思い切った人材採用ができる
・企業側が任期満了後の契約解除を容易にできる
【デメリット】
就労経験に乏しい求職者を採用する場合が多いため、実際に仕事を任せられるようになるのに時間がかかる点がデメリットでしょう。
・助成金受給の手続き書類が煩雑で手間がかかる
・長期的な人材の教育が必要
障害者トライアル雇用の対象者は?
「障害者の雇用の促進等に関する法律 第2条第1号」が定めるところの障害者に該当する方が対象です。
障害の原因や障害の種類は問わず、以下の条件のいずれかにあてはまり、週20時間以上の勤務ができる方が対象となります。
雇用期間は3か月で、障害者手帳がない方も対象になる場合があります。
・紹介日の時点で、未経験の職業に就くことを希望している方
・紹介日の前日時点で、過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している方
・紹介日の前日時点で、直近の離職期間が6か月を超えている方
・重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者
参照:厚生労働省HP「障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース」 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000158465.pdf
障害者短時間トライアル雇用の対象者は?
障害者短時間トライアル雇用は、障害者トライアル雇用で定められた週20時間以上の勤務が難しい障害を持つ方が、週に10時間以上20時間未満の短時間の就労からトライアル雇用を始められる制度です。
トライアル雇用中に求職者の体調や適応状態に応じて、20時間以上の就労を目指していきます。
対象者は以下の通りです。
・精神障害、あるいは発達障害がある方
・障害者トライアル雇用制度を理解したうえで障害者トライアル雇用による雇用を希望し、継続雇用による雇用を望んでいる方(※障害者トライアル雇用の対象者参照)
障害者トライアル雇用助成金について
障害者トライアル雇用を促進する目的で一定の要件を満たした企業には助成金が支給されます。
【障害者トライアル雇用】
支給額は月額最大4万円を3か月となっています。
事前にハローワーク等に障害者トライアル雇用求人を提出して求職者を紹介されると、一定の要件を満たし原則3か月間試し雇用した場合、助成金の受給が可能です。
また2018年から精神障害者雇用の助成が拡張されたことで、精神障害者のトライアル雇用は月額最大8万円を3か月、または月額最大4万円を3か月(最大6か月)となりました。
【障害者短時間トライアル雇用】
障害者短時間トライアル雇用の支給額は、月額最大4万円が最長12か月まで支給されます
参照:厚生労働省HP「障害者トライアル雇用のご案内」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000103771.pdf
障害者トライアルの流れ
1.企業がハローワークに障害者トライアル雇用の求人票を出す
2.就労希望の障害者がハローワークで求人票に応募
3.選考面接(書類選考ではなく面接による選考)
4.採用が決まり障害者トライアル雇用開始
5.2週間以内に企業が実施計画書を作成しハローワークに提出
6.障害者トライアル雇用が終了前に、継続雇用に移行するか雇用期間満了にするかを決定
まとめ
今回は障害者トライアル雇用についてお伝えしました。
障害者トライアル雇用で新しい仕事にチャレンジする前に、就労移行支援事業所で働くためのスキルを磨くことは、その後の継続雇用に繋がる大切な第一歩になると考えています。
私たちデジキャリITは、就労移行支援事業所として、疾患や障害等の事情があってお仕事に就くことに苦労している方に対して、相談や就職準備、アドバイスなどのサポートを行っています。
「スムーズに復職できるか不安……」「再就職先が見つからない……」などとお悩みを抱えている方は、一人で悩まずに一度相談に来られてみてください。
利用者様一人一人に寄り添い、自分のペースで働けるようになるお手伝いをさせて頂きます。
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