「片付けなきゃいけないのに、どうしても体が動かない」「部屋が散らかっているのを見るたび、自分のダメさに落ち込んでしまう」
そんな風に、散らかった部屋を前にして途方に暮れていませんか?
片付けられないのは、あなたが怠けているからとは限りません。
片付けという作業は、実はたくさんの判断や行動が必要です。
まずは自分を責めるのをやめて、なぜ片付けが止まってしまうのか、その理由を一緒に見ていきましょう。
「片付けたいのに片付けられない」のは、やる気の問題だけではありません

「片付ける気がないわけじゃないのに、なぜかできない」というとき、あなたの頭と心の中では何が起きているのでしょうか。
「片付ける」には意外と多くの判断が必要
片付けは一見すると単純な作業に見えますが、「何をするか」「どこに置くか」など、たくさんの判断が必要です。
- 視覚情報の処理: 部屋の中に何が落ちているかを確認する
- 分類と優先順位づけ: これはゴミか、必要なものか、後で使うものかを分ける
- 移動と収納: それをどこに置くべきか決め、実際に移動させる
散らかった部屋に立つと、脳には一度に大量の視覚情報が飛び込んできます。
その状態で「捨てる・残す・移動する」という判断を何十回、何百回と繰り返さなければならないため、判断することが多すぎると、どこから手をつければいいのか分からなくなり、動けなくなることがあります。
疲れやストレスで片付ける余力がなくなることも
人間のエネルギーには限界があります。仕事、学校、人間関係、あるいは日常の生きづらさやメンタルの不調と戦うだけで、日々のエネルギーはほとんど使い果たされています。
脳の「判断する力」や「行動を起こす力」は、体力が低下しているときや強いストレスを感じているとき、著しく低下します。
片付けができないのは、あなたの意欲が足りないからではなく、日々の生活を送るだけで精いっぱいで、 片付けに回すエネルギーが残っていないからです。
「全部やらなきゃ」と思うほど動けなくなる
「片付ける」と考えたとき、無意識のうちに「部屋全体をモデルルームのようにきれいにすること」をゴールに設定していませんか?
ゴールが大きすぎると、脳はその途方もない作業量を想像してプレッシャーを感じ、「今の自分には到底無理だ」と判断します。
結果として、「今は無理そう」と感じてしまい、最初の一歩を踏み出せなくなることがあります。
片付けられない理由と、自分を責めてしまうワケ

片付けがうまく進まない背景には、心や脳のさまざまなメカニズムが絡み合っています。
何から始めればいいのか分からなくなる
部屋の中に物が溢れていると、どこが「スタート地点」なのかが分からなくなります。
「服からたたむべきか」「床のゴミを拾うべきか」「机の上を拭くべきか」と選択肢が多すぎると、脳は判断を放棄します。
手順を組み立てることが難しくなると、 ただ部屋の真ん中に立ち尽くすことしかできなくなってしまいます。
完璧に片付けようとしてしまう
「一度やり始めたら最後まで完璧に仕上げなければならない」「100点満点の状態にしなければ意味がない」という完璧主義の思考があると、片付けのハードルが跳ね上がります。
「時間がまとまって取れる日に一気にやろう」と考えて先延ばしにしているうちに、さらに物が増えて手が付けられなくなるという悪循環に陥りやすくなります。
「捨てる・残す」の判断が負担になる
物を捨てるという行為は、感情的なエネルギーを激しく消費します。
- 「いつか使うかもしれないから、捨てたら後悔するかも」という不安
- 「せっかく買ったのにもったいない」という罪悪感
- 「思い出の品だから手放したくない」という愛着
一つひとつの物にこうした感情がつきまとうため、「捨てるか残すか」を判断するたびに心がすり減り、数分作業しただけでぐったりと疲れてしまうのです。
発達特性などが関係している場合もある
片付けの難しさは、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達特性、あるいはうつ病などの精神疾患が関係しているケースも少なくありません。
| 特性・状態 | 片付けに与える影響の具体例 |
| ADHD(注意欠如・多動症) | ワーキングメモリ(作業記憶)が弱く、物の置き場所を忘れる。途中で別のものに気を取られて片付けが中断する。 |
| ASD(自閉スペクトラム症) | 独自のこだわりがあり、物の分類ルールを決めるのに時間がかかる。変化への抵抗感が強く物を捨てにくい。 |
| うつ状態・意欲低下 | 意欲や集中力が低下し、片付けに取り組むこと自体が難しくなることがある。 認知の歪みから「どうせ自分なんて」と諦めてしまう。 |
こうした特性や体調が、片付けの難しさにつながることがあります。
根性論で解決しようとしても、かえって自分を追い詰めてしまいます。
片付けられないことが自己否定につながってしまう
「他の人は普通にできているのに、なぜ自分は足の踏み場もない部屋に住んでいるんだろう」「こんなこともできない自分は人間として失格だ」と、部屋の乱れを自分の価値と結びつけてしまっていませんか?
部屋が散らかっていること自体よりも、「片付けられない自分を責め続けること」のほうが、あなたの心を深く傷つけます。
自己否定を繰り返すとさらにエネルギーが奪われ、ますます片付けから遠ざかるという悪循環に陥ってしまいます。
片付けられないときに試したい、小さな工夫

片付けを成功させるコツは、「片付ける」という作業を小さく分けて、できそうなことから始めることです。
全部を一度に終わらせようとせず、「これならできそう」と思えるところから試してみましょう。
部屋全体ではなく、一か所だけにする
部屋全体を見ていると、「ここも片付けなきゃ」「あそこもやらなきゃ」と、やることがどんどん増えてしまいます。
まずは、片付ける場所を一か所だけに決めてみましょう。
- テーブルの上だけ
- ベッドの上の服だけ
- 洗面台の右側だけ
- 床のこの範囲だけ
「ここ以外は今日はやらない」と決めても大丈夫です。
狭い範囲でも、少し片付くだけで「ここは使いやすくなった」と感じられることがあります。
ゴミを一つ拾うなど、できることから始める
「片付ける」のではなく、まずは明らかなゴミを1つ捨てるだけでも十分です。
- 飲み終わったペットボトルを1本捨てる
- お菓子の空き袋を1つゴミ箱に入れる
- 床に落ちているティッシュを1枚拾う
数秒でできることから始めてみましょう。
「ゴミを1つ捨てた」だけでも、片付けの一歩です。
そこで終わっても構いません。
5分だけ片付けてみる
時間を短く区切る方法もあります。
タイマーを5分、難しければ1分にセットして、その時間だけ片付けてみましょう。
アラームが鳴ったら、そこでいったん終わりにします。
「全部終わらせなきゃ」と考えるより、「5分だけ」と決めたほうが始めやすくなることがあります。
5分経って「もう少しできそう」と思えば続けてもいいですし、疲れたらそのまま休んでも大丈夫です。
同じものを集めるだけでもいい
片付けながら、「これはどこにしまおう」「これは捨てよう」と一つひとつ考えると、判断することが増えて疲れてしまいます。
そんなときは、まず同じ種類のものを集めるだけにしてみましょう。
- ペットボトルだけ集める
- 洗濯物だけ集める
- 本や書類だけまとめる
- 床にあるゴミだけ集める
「収納する」「捨てる」まで一度にやらなくても構いません。
まずは物を集めるところまで、と作業を一つに絞ってみましょう。
迷うものは無理に捨てず、いったん保留にする
「要るか要らないか」をその場で決めるのがしんどいときは、無理に捨てようとしなくて大丈夫です。
迷うものを入れておく箱や袋をひとつ用意して、判断がつかないものはいったんそこに入れておきましょう。
「今は決めなくてもいい」と思えるだけでも、片付けへの負担が少し軽くなることがあります。
後から見直してもいいですし、しばらくそのままでも構いません。
物の定位置を決めて、片付けやすくする
物が散らかりやすい理由の一つに、「戻す場所が決まっていない」「戻す場所が遠い」ということがあります。
よく使うものは、きれいに収納することよりも、戻しやすさを優先してみましょう。
- 鍵や財布は玄関のトレーに置く
- よく着る上着はクローゼットにしまわず、ハンガーラックに掛ける
- 細かいものは、蓋のないボックスに入れる
「使ったら、すぐ元の場所に戻す」という方法が難しいなら、「使ったものをここに置けばいい」という場所を作るだけでも十分です。
片付けは、頑張ってきれいに収納することだけが正解ではありません。今の自分が無理なく続けられる方法を選ぶことも、片付け方の一つです。
「片付けられない自分」を責めなくて大丈夫

部屋が散らかっているからといって、あなたがだらしない人だと決まるわけではありません。
疲れや忙しさなど、さまざまな理由で片付けに手が回らないことがあります。
そんなときに「どうして自分は片付けられないんだろう」と自分を責め続けると、さらに気持ちが重くなってしまいます。
まずは「今は片付ける余裕がないんだ」と、今の自分の状態をそのまま受け止めてみてください。
部屋を完璧にきれいにする必要はありません。少しでも過ごしやすくなれば、それで十分です。
「きれいにする」より「過ごしやすくする」
SNSで見かけるような、生活感のない整然とした部屋を目指す必要はありません。
あなたが横になって休めるスペースがあり、温かい飲み物が飲めて、危険がなく過ごせるなら、それで十分です。
きれいに整った部屋を目指すよりも、「ここなら少し落ち着ける」と思える空間を作っていきましょう。
片付けられない日があってもいい
人間ですから、体調が良い日もあれば、どうしても身体を動かせない日もあります。
「今日は片付けられなかった」と落ち込む必要はありません。「今日は少し休みたいんだな」と受け止めて、無理に片付けようとせず休みましょう。
片付けは、元気になってからでも大丈夫です。余裕が戻ったら、またゴミを1つ拾うところから始めてみましょう。

休むことも大切な一歩だよ~
でじもふくんのひとこと
「元気なときにできればいいよ~」

世の中にある「正しい片付け方」が、あなたにとっての正解とは限りません。
毎日少しずつやるのが合う人もいれば、調子が良いときにまとめてやるのが合う人もいます。
大切なのは、誰かの「正しい片付け方」に合わせることではなく、自分が無理なく続けられる方法を見つけることです。
たとえば、朝のほうが動きやすいなら朝に5分だけ片付ける、疲れやすい日はゴミだけ捨てるなど、その日の体調に合わせてやり方を変えても構いません。
「今日はここまでできた」と思えるくらいの量から始めて、自分にとって負担の少ない方法を探してみましょう。
私たちデジキャリIT就労移行支援事業所では、障害等の事情があって就職・再就職に悩んでいる方に対して、相談や就職準備、アドバイスなどのサポートを行なっています。「障害があるから仕事が見つからない…」などのお悩みを抱えている方は、一度相談に来てみてはいかがでしょうか。

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