「朝起きた瞬間の時点で、すでに疲れている」ということはないでしょうか。
「昨日あんなに早く寝たのに、どうして朝からこんなにぐったりしているんだろう」
「起きなきゃいけないのに、頭が重くて体が1ミリも動かない」
そんな自分に対して、「私の意志が弱いからだ」「ただの甘えや気合不足なんじゃないか」と、朝一番から自分にバツ印をつけて、落ち込んでしまう人も少なくありません。
でも、どうか自分を責めないでください。朝起きるともう疲れている、そんなふうに毎朝を必死の思いで迎えている人は、決してあなた一人だけではありません。
あなたのすぐ隣にも、同じように布団の中でやり場のない重だるさと戦っている人が必ずいます。
この朝のつらさは、あなたの心の弱さではなく、心と体のバランスを整える「自律神経」が一生懸命にあなたを守ろうとしているサインです。
今回は、無理に気合で起きようとせず、傷ついた心と体に寄り添いながら、少しずつ優しく目覚めさせていくための朝の過ごし方をお伝えします。
温かい飲み物でも想像しながら、まずは肩の力を抜いて、のんびりとした気持ちで読み進めてみてくださいね。
「朝からもう疲れている」のはどうして?意志の弱さではない本当の理由

多くの人は、睡眠をとれば朝には体力が100%回復しているものだと考えています。
だからこそ、目覚めた瞬間に疲労感があると、「自分の怠け癖のせいだ」と結論づけてしまいがちです。
しかし、どれだけがんばろうとしても体が動かないのには、自律神経の働きや、これまでに蓄積された心の疲れが深く関係しています。
自律神経のスイッチがうまく切り替わらない、体のジレンマ
私たちの体には、活動するときに働く「交感神経」と、休むときに働く「副交感神経」という二つの自律神経が備わっています。
通常、朝が近づくにつれて、体は自然と交感神経を高め、活動の準備を始めます。
しかし、日頃から過度な緊張やストレスにさらされていると、この二つの神経のバランスが乱れてしまいます。
特に夏場は、屋外のうだるような暑さと冷房の効いた室内の寒暖差によって、自律神経は常にフル稼働で体温調節を行っています。
そのため、夜になってもリラックスモードに切り替わらず、睡眠中も体や脳が緊張し続けたままになってしまうのです。
これでは、何時間ベッドの中にいたとしても、実質的には一晩中走り続けているようなものであり、朝起きた瞬間に「もう疲れている」と感じるのは、生物としてごく自然な現象なのです。
4月からの緊張が限界を迎える、見えない疲労の積み重ね
あなたが今、朝起きられないほど疲れているのは、ここ数日だけの問題ではないかもしれません。
思い返してみれば、4月の新年度のスタートから、新しい環境や仕事、人間関係の中で、周囲に気を配りながらずっと気を張ってがんばり続けてきませんでしたか。
真面目な人ほど、周囲に迷惑をかけまいと「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせ、疲れに蓋をして走り続けてしまいます。
その限界が、数ヶ月が経った今の時期に、一気に表面化している可能性があります。
いわば、心のエネルギータンクが完全に空っぽになってしまった状態です。
ガソリンの入っていない車が動けないのと同じように、今のあなたの心と体も、動くためのエネルギーが不足しているだけなのです。
朝一番の「行きたくない」という心が発する大切な防衛反応
目が覚めた瞬間に襲ってくる「仕事に行きたくない」「このまま布団の中にいたい」という強い拒絶感は、一見するとネガティブな感情に思えます。
しかしこれは、あなたの心が「これ以上無理をしたら壊れてしまうよ」と必死にあなたに伝えている、とても大切な防衛反応です。
体調が悪いときに熱が出るのと同じで、心がこれ以上の負担を拒否するために、体にブレーキをかけて動かなくしているのです。
それを無理に「気合」という強い力でこじ開けて動かそうとすれば、さらに傷口を広げることになってしまいます。
まずは「動けない自分」を責めるのをやめて、「そっか、それだけがんばってきたんだね」と、自分の状態をそのまま受け入れてあげることが何よりも大切です。
無理に起きなくていい。少しずつ体を覚醒させていく優しい朝のステップ
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朝、アラームが鳴った瞬間に勢いよく飛び起きる必要はありません。
そんな急激な動きは、ただでさえ乱れている自律神経にさらに大きな負荷をかけてしまいます。布団の中にいながらでもできる、心と体をじんわりと優しく目覚めさせていくためのステップをご紹介します。
ステップ1:布団の中でゴロゴロしながら、指先だけを少しずつ動かす
目が覚めて「体が重くて動けない」と思ったら、まずは起き上がろうとするのをスパッと諦めましょう。
布団の中に横たわったままで構いませんので、まずは手や足の指先を、もぞもぞと小さく動かしてみることから始めます。
ギュッと握って、パッと開く。そんなささやかな動きを数回繰り返すだけでも、滞っていた血液がゆっくりと体の中心へと巡り始めます。
次に、布団の中で大きく伸びをしたり、寝返りをうって体を左右にゴロゴロと揺らしたりしてみましょう。
目標は「起き上がること」ではなく、眠っている筋肉に「これから少しずつ動くよ」と優しい合図を送ってあげることです。
ステップ2:カーテンを少しだけ開けて、光を部屋に入れる
体の準備がほんの少しできたら、次は目からの刺激を利用します。がんばって立ち上がる必要はありません。
這うようにしてでも、あるいはベッドの中から手を伸ばしてでも良いので、カーテンを少しだけ開けてみましょう。
朝の光が視界に入ることで、脳は「今は朝なんだな」ということを自然に認識し始めます。
光の刺激は、睡眠を促す物質の分泌を止め、心を安定させる物質の分泌を促すスイッチになってくれます。
たとえ曇りや雨の日であっても、窓際の明るさは室内の照明よりもずっと強いエネルギーを持っています。
ただぼんやりと外の明るさを眺めているだけで、頭の中の霧が少しずつ晴れていくのを感じられるはずです。
ステップ3:コップ一杯の水を、ゆっくりと時間をかけて飲む
布団から出ることができたら、キッチンへ向かってコップ一杯の水を飲みましょう。
冷たいお水が苦手な場合は、常温の水や白湯でも構いません。
睡眠中に汗として失われた水分を補給すると同時に、水が胃や腸に入ることで、内臓の働きが優しく刺激されます。
内臓が動き出すと、自律神経のスイッチが自然と活動モードへと傾き始めます。
一気に飲み干すのではなく、一口ずつ、喉を通る水の感覚を味わうようにゆっくりと飲むのがポイントです。
「今日もなんとかここまで動けたな」と、水を飲む自分の行動を静かに認めてあげてください。
朝の絶望感を和らげるために、前日の夜からできる小さな工夫

朝のつらさは、実は前日の夜の過ごし方によって、その痛みを少しだけ和らげることができます。
夜のうちに「明日の朝の自分」を助けるための、優しい仕込みをしておきましょう。
朝の自分にプレッシャーをかけない「夜の片付け」
朝起きたときに、シンクに汚れた食器が溜まっていたり、部屋が散らかっていたりすると、それを見ただけで心が折れてしまいますよね。
「これから仕事に行かなければならないのに、こんなこともできていない」と、朝から減点方式の思考が始まってしまいます。
ですから、夜のうちに、完璧でなくても良いので、視界に入る景色を少しだけ整えておきましょう。
例えば、明日の服をあらかじめ枕元に出しておく、バッグの中身を整理しておく、といった小さなことで十分です。
朝の自分が迷ったり考えたりする手間を少しでも減らしてあげることで、目覚めたときの心理的な負担をぐっと軽くすることができます。
就寝前のスマートフォンを、心地よい環境に置き換える
ベッドに入ってからのスマートフォンは、まぶしい光によって脳を興奮させ、睡眠の質を著しく下げてしまいます。
分かってはいても、ついつい夜の寂しさや不安から、画面を眺め続けてしまうものですよね。
まずは、寝る前の5分だけでも良いので、スマートフォンを少し離れた場所に置いてみましょう。
その代わりに、部屋の照明を少し落として、自分の好きな香りのミストを枕に吹きかけたり、心地よい波の音やオルゴールの音楽を小さな音で流したりしてみてください。
視覚の刺激を減らし、嗅覚や聴覚を心地よさで満たしてあげることで、夜の間の自律神経がしっかりと整い、翌朝の「起きた瞬間の疲労感」が少しずつ軽減されていきます。
今日からできる!「起きられない自分」を許すための心のレッスン

朝起きられないことに悩む人は、総じて自分に対してとても厳しいルールを課しています。
その心の縛りを少しだけ緩めて、自分に優しい眼差しを向けるためのレッスンをしてみましょう。
「早く起きられなかった」を、「体がしっかりと休もうとした」に変えてみる
予定していた時間に起きられず、二度寝や三度寝をしてしまったとき、「またやってしまった」「なんて自分はだらしないんだ」と激しい自己嫌悪に襲われるかもしれません。
これからは、その捉え方を逆転させてみましょう。
あなたの体がそれだけ長い睡眠を求めたのは、日頃のがんばりによって溜まったダメージを、必死に修復しようとしていたからです。
「私の体は、今一生懸命に自分を治そうとしてくれているんだな。しっかりと休むことができてよかった」と言葉を言い換えてみてください。
自分を責めるのをやめるだけで、朝の重苦しい空気はすっと軽くなります。
朝のハードルを徹底的に下げて、加点方式で振り返る
「朝起きて、バランスの良い朝食を作り、余裕を持って出勤する」そんな理想の朝を掲げていると、それができなかったときにすべてがバツになってしまいます。
疲れているときは、理想のハードルを地面の低さまで下げてしまいましょう。
目が覚めたらプラス1点。
布団から出られたらプラス1点。顔を洗えたらプラス1点。
コンビニでおにぎりを買って食べられたらプラス1点です。
そんなふうに、できたことだけを数える加点方式で自分を見てあげてください。
たとえギリギリの時間になってしまったとしても、家を出て会社に向かおうとしているその姿自体が、すでに100点満点以上の大健闘なのです。
もし、上記のような朝のステップを試してみても、どうしても毎朝起きるのが辛くて涙が出てしまったり、体が鉛のように重くて動けなかったりする日々が2週間以上続いているなら、それは一時的な寝不足や夏バテの枠を超えているかもしれません。
あなたのその繊細で優しい本質が、今いる環境や、現在の働き方のスピードと、うまく噛み合っていない可能性があります。
「周りのみんなは同じように働いているのに」と、自分を責めて一人で抱え込む必要はまったくありません。
朝起きられないほどの強い疲労感や心の拒絶は、専門の医療機関や身近なサポートを頼るべき大切なタイミングを教えてくれています。
たとえば、体調の波や眠れない悩みが続く場合は、決して無理をせず、心療内科や精神科、あるいはかかりつけの医師に相談してみることをおすすめします。
自律神経の乱れや心の不調に対して、お薬の力を借りて睡眠の質を整えたり、一時的に診断書をもらって休職し、心と体をしっかり休める時間を確保したりすることも、自分を守るための立派な選択肢です。
また、職場の環境そのものが大きなストレスになっていると感じるなら、会社の産業医や人事、信頼できる上司に相談して、出勤時間を少し遅らせてもらう「時差出勤」や、体への負担が少ない業務への配置転換などを打診してみるのも一つの方法です。
働く時間帯や環境を少し調整するだけで、嘘のように朝のつらさが和らぐこともあります。
「限界を迎える前に、誰かに助けを求めていいんだ」
「朝からもう疲れてしまう私を、休ませてくれる仕組みがちゃんとある」
そう思えるだけで、夜ベッドに入るときの恐怖や、朝迎える絶望感は、少しずつ優しい安心感へと変わっていくはずです。

起きられたら100点~
でじもふくんのひとこと
「起きられない朝は
毎日頑張っている証拠だよ~」

今回は、朝どうしても起きられない日々に悩むあなたへ向けて、自律神経の仕組みと、朝の時間を優しく乗り切るためのヒントをお伝えしました。
「朝起きた瞬間から疲れている」というそのつらさは、経験した人にしか分からない本当に苦しいものです。
周りの呑気な様子を見ては、自分だけが取り残されているような寂しさを感じる夜もあったことでしょう。
でも、それはあなたが決して怠けているからではなく、これまで限界までがんばってきた証拠です。
あなたの体と心は、今、お休みを必要としています。
明日の朝は、アラームが鳴ってもすぐには起き上がらず、布団の中で指先をもぞもぞと動かしながら、「今日も生きて目が覚めただけで大正解」と、自分に一番優しい言葉をかけてあげてください。
無理に自分を削って社会のスピードに合わせるのではなく、あなたの自律神経の波のままで、のんびりと心地よく過ごせる働き方や未来を、周囲の力も借りながら、少しずつ一緒に見つけていきましょうね。
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